『意味の無い悪乗りな馬鹿っぷるの皆薫の話』←タイトルらしい(おい)




「うっ、やばい…… 」

 思わず薫は、顔を引きつらせて独り呟いた。

「こ、これなら」

 薫は今、身に付けていたミニスカートを乱雑に脱ぎ捨てると、

クローゼットの中の他のスカートを取り出し、身に付ける。

「だ、駄目だ…… これも、じゃ、あれは--------

 再び脱ぎ捨て、クローゼットの中身を引っ掻き回しながら、

お気に入りの服を次々と試着し続けたのだったが。

「…… これもはまらない…… 完璧に太った…… 」

 受け入れたくない事実に薫は愕然となる。

 せっかくの休日、皆本との久々のデートだということで、

気合をいれた格好で行こうとしているというのに、思いがけない壁にぶち当たっていた。

 普段もそれなりに、体のラインが出る服を着ている方なのだが、

デートの際は更にそれを誇張させるように、

皆本の視線を感じるようにと露出さをアピールしている方だったのだが、その手の類の服が着られない。

 ホックが入らないやら、ファスナーが締まらないなど色々と。

 早い話、腰周りが今までよりも肉付きがふくよかになったというのか、

はっきり言えば太ったといったほうが早い。

「あぁぁ、どうしょう…… 今時、アブ●トロ●クスや、ビ●ーズブー●キャンプは時代遅れだし、

腹筋しても、そんな効果を待っていられる余裕も無いし。このままでは、皆本に顔を合わせられないじゃん」

 どうしていいのか分からなず、困惑した薫は下着姿のまま頭を抱えていた。

「だからビールの飲みすぎなんだよ。薫は…… 

あれだけ毎日飲んで部屋でゴロゴロしてれば、お腹も出てくるさ。

それに、すぐに何でも念動力で動いていれば運動不足にもなる」

 いつのまにか、薫の背後に皆本が立っており、一部始終を眺めていた。

「ちょ、ちょっと皆本、いつからそこにいたのよ !! 」

 見知らぬうちに現れた皆本の姿を見た途端、

薫は慌てて近く散乱していた衣服で下着姿であった自分の身体を隠し、顔を赤らめながら批難している。

「一緒に出かけると約束しているのに、時間になっても部屋から全然出てこないのだから、

呼びに来ただけだよ。それに、同じ家に住んでいるのだから今更隠しても意味無いと思うが」

 悪びれた様子も無く、皆本はいけしゃあしゃあと答えている。

「 ……だからって、ノックぐらいしてよ。もう ! 」

「したけど気がついていなかったようだけどな。でも、

見た感じ今ぐらいが薫は丁度いい感じに思うぞ。大体、最近の女の子は皆痩せすぎだ」

「冗談じゃないって ! 女は皆、少しでも太くなったことがショックなのよ、

まったくいつも皆本には女心が分からないだけなんだから。いいわね、食べても飲んでも太らない体質で !! 」

 頭に来て癪に障ったらしく、棘のある言い方で嫌味を返す。

「男と女じゃ、価値観が違うから仕方ないだろう。僕は実際にそう思うんだから」

「あっそう。じゃ、そんな皆本好みの女と付き合えば ? 」

 二人の会話はかみ合うどころか、こじれていくばかり。

 本心では、こんな事を言うつもりでは無いと薫は抱いているのだが。

 しかし、皆本の言葉には腹が立って仕方が無い。

「子供だな、薫は」

 呆れ顔で、皆本は嘆息を吐いた。

「子供扱いしないでよ !! 」

 こんな状況で子ども扱いをされた薫は、更に血が登り、

思わず皆本を壁に念動力でめりこませてやろうかと思っていた矢先
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「じゃ、子供扱いせず今日はデートしないで、君のダイエットに付き合ってやるよ」

「どういう意味よ !! 」

 無言で薫の手首を掴むと、皆本は薫を半ば強引に部屋から連れ出した。

 連れて行かれた先は、皆本の寝室。

「皆本 ?! 」

「ちょっとー !! いきなり何するのよ !! 」

「薫も歓んで、僕も歓ぶ運動をね」

 薫の文句など、どこ吹く風なのか、爽やかに皆本は薫に笑顔を向けながら、部屋のドアを締めた。

 後は、何とも激しく艶かしく絡む声だけが響き渡るのだった。




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「で、何度もダイエットに付き合った挙句、

今度は別な意味で薫ちゃんのお腹が出るようなオチになったのかよ」

 居酒屋のあるテーブルの一角で、どこか茶化すように、賢木は皆本に突っ込む。

「いや、それは…… なんというか」

 言い訳も出来ない皆本は、赤面しながらグラスのビールを飲んでいる。

 最近、薫の具合が悪いという事で、内密に賢木に診断してもらった結果が、

おめでただったという事実。

「うーん、実感は無いけど、そういうことなんだよな」

 思いがけない嬉しさなのか、皆本は浮かれ続けている。

「はいはい、おめでとさん。ということで、夜も方はしばらく遠慮しとけよ。

にしても、そんな、にやけているお前の顔を皆に見せてやりたいぐらいだよ。

こんな奴が、父親にあるのか…… 親馬鹿な姿が今から目に見えそうだ」

 傍目で、そんな姿を見ている賢木は思わず苦笑を浮べながらも祝福するのだった。

                          終わっておきます(汗)
                                    2008・3.25






えータイトルの如く、何の意味も無いありきたり的な馬鹿話でございます。
たまに、こんなネタが浮かぶので、書いてみました(汗)
いやぁ……本当に酒飲みすぎると、お腹が出ますねぇ。(実録)






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