『夢』
「うぅ…… 」
重苦しい呼吸の中で、皆本はうなされている。
何かに脅え、恐れているかのように。
「皆本…… ? 」
そんな皆本の様子に気がつき、目が覚めたのか薫はベッドから身体を起こし、
うなされている皆本の肩を軽く揺する。
同時に、皆本は目を覚ましながら上半身を起こすと、あれが夢であったのだと安堵を覚えた。
「皆本、大丈夫 ? 随分、うなされていたみたいだけど」
心配そうに、皆本の額にかいた冷や汗を薫は、手で拭い上げる。
「大丈夫だ。少し嫌な夢を見てしまったみたいだけだから」
なんでもない素振りで、皆本は薫にそう答えるのだが、薫には気がかりな部分がある。
皆本が、夢でうなされている姿を隣で、寝ている姿を時折目にしてしまう。
何にうなされているのか、尋ねてみたことがあるのだが、
今回のように話をはぐらかされて未だ話してはくれない。
紫穂に、こっそり皆本の夢を透視してもらったこともあるのだが、
何らかのプロテクトが皆本には、仕掛けられておりレベル7の能力を持ってしても
解析は不可能だと告げられていた。
これは、嘗て…… 皆本が、兵部の罠により昏睡状態となり夢の世界に
閉じ込められた時と同じような状況のような気がして仕方が無い。
あの時も、皆本は何かにうなされていた。
そしてあの時も、原因がなんだったのかも分からない。
自分の知らない部分で、皆本が常に何かを背負い脅えている事だけは、薫にも分かっていたのだ。
しかし、それを自分に打ち明けてくれない皆本に対して、
些か寂しさと本心から信頼されていないのかと一抹の不安さえ感じてしまうほどに。
一人で背負うよりも、自分に話してくれれば、少しでも悪夢にうなされることは無くなるだろうと。
それは、皆本とて同じだった。
時折、悪夢として見てしまうのは、自らの手で薫を射殺してしまう、あの忌まわしき光景。
愛する者を手にかけてしまう心を引き裂かれてしまうような、
痛みと悲しみだけが夢の中で彼の心を支配している。
決してそこから抜け出し、解決の道は見つかる事は無い。
延々と、その光景を繰り返すだけで---------
以前のように、彼の意識の中に薫が入り込み、救い出してくれた時もあった。
だが、その後もこの夢は繰り返し見続けることになり、今に至る。
彼を心配し、少しでも手助けしたそうな薫の気持ちは分かるのだが、
決してこれだけは話すことは出来ない。
これからも自分だけで、解決していかねばならないのだと、
彼は背負い続ける事を覚悟していた。
決して、あの悲劇を起こしてはいけない自分への戒めのためにと。
「ならいいんだけど…… 」
皆本が心配でたまらない薫は、不安気な顔色を浮かばせる。
そんな薫を見て、皆本は申し訳なさが募りあがりながらも、
薫に覆いかぶさるようにベッドに押し倒す。
「皆本…… 」
急にそんな行動を起こした皆本の考えは、薫には分かる。
「こんな時間から、駄目かな ? 」
「私は、別に構わないよ…… 皆本が、そうしたいのなら」
皆本の言葉に、薫は彼を受け入れる事を許す。
それを聞き、安心したかのように皆本は、薫にキスを交わしながら重なり合うのだった。
お互いが求め求め合った後に、薫は再び眠りの世界に陥り、
その反面、皆本は未だ眠りにつくことは出来ずにいる。
汗じみた身体に、お互いの感触が今なお色濃く残っている。
「僕は一体、何をしているんだろうな…… 」
自嘲気味に、眠っている薫を見つめながら苦笑を浮べる。
幾度も夢見てしまうあの光景から逃避したくなると、薫を求め抱いてしまう。
重なりあっていれば、その時だけは何も考えなくてもいいほどに没頭できるからだ。
薫もまた、そんな皆本の心情を察しているのか、黙ってその身を許している。
そうするしか、苦悩から皆本を忘れさせることは出来ないのだと、理解していた。
そんな気持ちで抱くような関係は、
単なる同情されているだけだと非難されても仕方が無いのかもしれない。
だが、薫を愛しんでいるのも事実。
しかし、その身体の肉欲で現実から逃げているのも事実。
答えが見つからないでいる皆本には、今はもう、それすらも辛くなり始めていた。
皆本の腕の中で眠る薫の指先を、皆本は自分の指先を触れながら絡めている。
自分よりも小さく、暖かな指先。
それだけでも、愛おしさがこみあがる。
「僕に、君を守りきれるだろうか…… 」
弱音に近い本音を、皆本は吐露する。
これが、本当の今の彼の心情だった。
「皆本--------- 」
ふいに腕の中で眠っていた薫が、寝言で皆本の名を呼んだかと思うと、
彼の首の後ろに手を回しながら、自分の豊満な胸の中に彼の顔を優しく包み込んだ。
「薫 ?! 」
突然の行動に、皆本は些か驚く。
しかし、薫は本当に寝ぼけての行動らしいのだが。
「大丈夫だよ…… あたしがいるからさ…… 皆本は、何も心配しなくても--------- さ」
薫が子供の頃のような口調で、皆本の耳元で、そう囁く。
(薫………… )
暖かく優しい感触と、鼓動が皆本に優しく伝わり沁みていき、不安がどこかにかき消される。
同時に、不思議と涙がこみ上がるのも分かる。
幼い頃に、母親の胸の中で抱かれると、いつも安心していた感覚が、今彼の中でよみ上がる。
(ありがとう…… 薫)
不安に苛まれていた彼に、安堵の場を与えてくれた薫に、
皆本は心からそう礼を言いながら、今だけは不安を忘れ、その胸の中で安らいだ眠りに彼はつくのだった。
終。
2007/10/08
コ、コメント、どう書いていいのやら。
これ、自分が見た本日の昼寝時の夢の内容です(笑)
なんちゅー夢見てるやら。
(それだけ、常に皆薫成分が不足しているのですよ)
でも、えろえろシーンだけは、ここでは割愛(おい)
表用の話にしたかったので。
とりあえず、夢の内容忘れないうちに、殴り書き。
意味の無さそうな話でorg
なんだか、昨年末に出した同人誌の内容に
一部酷似している部分もありますが、
存じておられる方々、その辺は、突っ込まないで下さいまし(汗)
似る部分は、この先も出そう。(おいおい)
あ、うちの薫と、皆本は、当然同棲している設定となっとります。
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