忘れられぬ思い。



 激しい雨の中を薫は走り抜けている。

 空を舞いながら、走りながら何かから逃げるように。

「薫 !! 」

 逃げる彼女の姿に、叫ぶ声。

 悲しく辛さを混じらせたような声で、皆本はその名を呼ぶ。

 だけども、薫はその足を止めることは無かった。

 ほんの一瞬、彼の方を横目で目にしただけで――――

 それでも皆本は、薫を追い続ける。

 その姿が、目に入り続ける限り。

 共に過ごしたあの日々に戻りたい――――

 彼の胸には、守りきれなかった悔痕の念だけが渦巻いている。

 自分の元を去ってしまった愛しき存在の姿を常に忘れる事も無く、

その姿を追う―――

 こうして今もまた、その姿を見かけ薫を追っていた。

 

 念動能力を使う薫は自由自在に、高低の激しい場所へも楽に移動しながら逃げる。

 何の力も無い皆本は、壁によじ登り、障害物を身体で押しのけ、

全身に傷だらけになろうとも、追い続ける。

 そして追いつき、高いビルの屋上と屋上との境の向こうに薫は立っている。

 薫の力でなら飛び越せる距離だが、皆本には無理としか言いようのないものである。

 けれども、皆本は躊躇しなかった。

 これを飛び越せば、薫を必ずこの手にすることが出来るのだと。

 そして彼は迷うことなく、空を飛んだ。

 が、しかし…… 人には限界はある。

 薫の元に手が届く寸前で、彼は失速し目の前で落下を始めてしまう。

(ここまで来て―――― )

 自分の命のことよりも、薫を捕まえることが出来なかった悔しさが滲む。

 ただ今の彼には、何も出来ることなく、その身を地に叩きつけられる以外何も

待ち構えていなかった。

 が、いつになっても、皆本の身は地面に叩きつけられる事が無い。

 それ所か、誰かが手を掴む感触に気がつく。

「薫…… お前…… 」

「――――― 」

 助け掴んでいたのは薫であり、その表情は複雑さを出していた。

 ゆっくりと皆本の姿を地に下ろした後、薫はすぐ様、

その場から逃げ出そうとするのだが、素早くその腕を皆本は両手を掴みあげると、

側にある壁にと自分の身体の間に挟みこむように薫を押し付けた。

「放して皆本―――― 」

 隙を突かれ、動揺している薫に、皆本は――――

「嫌だ。この手を離したら君は二度と僕の腕には戻らない」

 断固たる言葉と意思で、皆本は薫を押し付けたまま強引に、自分の唇を薫に重ねる。

「―――― ! 」

 不意を疲れたキスに薫は、呆然となりつつも拘束から逃げ出そうとする。

がしかし、皆本の力の強さとキスの激しさにそれすら出来ない。

「ん…… んんっ…… 」

 薫の中に皆本が激しく絡みつきながら、薫を求めるうちに、

薫もまた自分の意思とは関係な身体が反応して自分から皆本に絡みついて行く――――

 忘れてしまいたかった、少し前まで求めていた感触と、幼き頃からの皆本への想いがこみ上げてくる。

(あの時、立ち止まらず逃げて、皆本を助けなければ良かった…… でも、皆本を死なせたくないのも私の本音……

 これは私の弱さ…… 皆本を忘れきれない私の…… )

 雨で濡れ切った薫の頬に、涙が一筋流れ落ちる。

 それが何なのか、薫にも分からない…… 。

 ただ、皆本の悲しく愛しさを込めたキスに、その身を束縛されるしかなかったのだった。







                           とりあえず、に続きます。





えー書きたいシュチだけを書いてしまいたい企画と、勝手に銘打って山場だけを

書くありえない捏造シリーズを勝手に始めています(苦笑)

いやね、書きたいシュチはあれどもオチが収拾つかなくなるのは、目に見えているんで

そのシーンだけを書く、せこいパターンです(汗)

起承転結の起承しか無いです…。

この手の書きたい場面だけの展開を、たまに書いていこうと思いますw

ちなみに今回は、壁に押し付けられ、

敵同士の皆本に強引にチューされる薫が書きたかっただけ(爆)


今回の話だけで、書き逃げる予定でしたが、

話の続きが浮かんだので、話が破綻するまで続きを書きます(おいおい)




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