「忘れられない思い 6」
この場にいるはずの無い皆本の姿を目にして、薫は顔には出さないが動揺を見せていた。
何故、ここにいるのだと。
バベルの予知システムに察知されないようにと、妨害工作をしていたというのに
「僕がここにいる事がそんなに驚いたのか ? 」
勝ち誇ったような笑みを浮かばせながら、皆本は薫の耳元で囁く。
「…… 」
そんな彼の態度が癪に障り薫は何も答えずにいると、皆本は薫の腰のベルトに手を滑らせると、
その内側から何か小さく丸い物体を彼女の目の前に差し出す。
「いつの間に…… 」
「君に助けられた時にな…… 小さいだけあって、反応範囲が狭いから、
近くに君が現れるまで探し当てるのには時間がかかった」
彼が手に持っていたのは、発信機であり、前回薫を抱いた際に、密かにベルトに忍ばせておいたのだ。
それによって、自分の位置を悟られた事に、薫は自分の不手際を悔いた。
あの時、皆本キスを受け入れなければ、こんな事にはならなかったのにと。
「私をどうするつもりなの…… ? 掴まえて、バベルに連れ戻してパンドラについて尋問するつもり ?
銃も構えていない丸腰なのに、これではあたしを捕えられないわよ」
一見、背後を取られ窮地に陥った薫のようであったのだが、皆本の手に銃は無い。
その替わりに、発信機の受信装置がある。
これで、皆本は薫を脅していたのだ。
「君には銃を向けたりはしない。そうしなくても、君を逃したりはしない。
薫…… 一度だけ、話し合う機会をくれないか ? 」
「私はそのつもりは無いわ。普通人は私達の敵であって仲間では無い。
皆本も同じ普通人なのだから、決して分かり合えることは出来ない---------- 」
冷静に冷たく薫は、皆本に否定の言葉を突き当てながら、
再び胸が引き裂かれるように痛みを起こす。
薫自身、それが本心で無い事を何よりも気付いているのだから、何よりも辛さが滲み出る。
「今度こそ、本当にさよならだよ、皆本…… 私達は、こうなる運命を選んだのだから」
どこか儚げな表情を浮かべながら、薫は別れの言葉を口にして皆本から離れようとした瞬間。
薫の首に皆本が自分の腕を絡め締め付けると、彼女の口元に何か刺激臭のする布を突き当てられる。
「ん、うぐっ ?! 皆本 !! 」
「すまない、君を逃さない為には、こうするしかなかったんだ」
皆本が手にしたのは、クロロフォルムの染込んだ布。
いくらレベル7の薫でも、突然何の警戒もなしに襲われれば、ひとたまりも無い。
「卑怯…… だよ、皆…… 本……。」
薄れ行く意識の中で、薫は皆本の顔を睨みつめて力無く呟く。
意識を失い、崩れ倒れそうな薫の受け止めながら皆本は、その身体を愛しそうに抱くのだった。
えー久々に続きを書いたのに、しかも中途半端の短さというか、
ページ的に1P分しかないです(汗)
残りの6.5は連休明けに書き上げます。
なんだか、最近の原作の展開を読んでいると、もう全然違うので苦笑。
話の展開を様子見していたので、この続きを止めていたのですが。
もういいや、完全設定捏造覚悟しています。
たとえ、原作じゃ、もしかして二人関係無いまま離れたとしても・・・(この予想が高そうですが)
うちの二人は、関係あるっていう事で開き直りしてます(おい)
なので、そんな視点で読んでいただければ、幸いです。
ということで、今後は好き勝手な内容でお送りしますw
でもさすがに、序章だけは、ある程度本編での、様子を見ながら書こうかと思っております。
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